2023年2月7日火曜日

2023.3.4 語彙研究会2022年度研究会プログラム公開

研究会への参加(聴講)希望者は下記フォームから2月25日(土)までにお申し込みください。お申し込みいただいた方には、開催2日前までにZoomのリンクをお送りします。なお、Zoomの利用方法に関するサポートはいたしかねますので、あらかじめご了承ください。万が一Zoomの定員を超えた場合には、先着順での受付とさせていただきますので、あらかじめご了承ください。

参加(聴講)申込フォーム(2月25日期限):https://forms.gle/sU88hAYGvz1vfo2J8

お問い合わせ:英語コーパス学会語彙研究会2022年度代表 石井康毅(ishii AT seijo.ac.jp)


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英語コーパス学会語彙研究会2022年度研究会(2023年3月4日)

プログラム

13:00-13:05 開会の挨拶(研究会代表)

13:05-13:35

高橋秀斗(東京外国語大学学部生)・高甜(東京外国語大学大学院生)・佐野洋(東京外国語大学)

「中日対訳コーパスの開発とその利用-中国語「会」、日本語「のだ」の対照分析-」

要旨:一般流通する書籍(9冊×2)から日本語/中国語対訳コーパスを作成した。内訳は、小説5冊、学習参考書3冊、社説集1冊である。コーパス規模は,小説が1冊あたり10~12万語程度,学習参考書は,3冊合計で約30万語程度である。段落単位でテキストの対応付けを行った。日本語、中国語それぞれ形態素解析を行うことで、単語や品詞分類名を検索キーワードに用いることができる。このコーパスを用い(1)意志性を持つ「会」の日本語対訳例を調査し、対照分析することで、中国語の意志的モダリティの特徴を分析した。(2)説明のモダリティの意味をもつ日本語の「のだ」文の中国語対訳例を、やはり対照分析することで日本語の仮説演繹的な思考特徴を分析した。いずれも確率的因果性の枠組みを使うことで言語普遍的な説明が可能であることを主張する。


13:35-14:05

澤口遼(関西大学第一中学校)

「日本人大学生への英語論証文定型表現教授項目選定の試み―語彙表Academic Formulas Listを活用して―」

要旨:大学英語教育において、エッセイ形式で自説を展開する「英語論証文」執筆能力の育成は重要な課題の1つである。本研究は、学術英語語彙表 Academic Formulas List(AFL)を日本人大学生への英語論証文の定型表現指導項目の選定に活用することを目的とする。英語母語話者・日本人大学生の英語論証文を収録した学習者コーパスICNALE Written EssaysとAFLの比較により、(1) ICNALEの英語母語話者によって使用される英語論証文の定型表現とAFLの定型表現には一定の共通性が見られること、(2) 日本人大学生が重点的に学習すべきAFLの定型表現の傾向 が判明した。これらの結果から、AFLは日本人大学生への英語論証文指導に活用できる可能性が高いと考察した。


14:05-14:35

飯島真之(神戸大学大学院生)

「ICNALEを用いた日本人学習者の英作文における確信度副詞使用実態―アジアのEFL圏6地域の比較―」

要旨:言語使用において話者や書き手が自らの態度や評価等、何らかの立場を提示することをスタンス表出と言い(Biber et al.、1999他)、certainly、probably、maybe等の確信度副詞(adverbs of certainty:ADC)が重要な役割を果たす。筆者はすでに飯島(in press)において、英語母語話者のADC使用を観察したが、学習者のADC使用はいまだ十分に調査されていない。学習者を対象とした過去の研究は、分析するADCの範囲の狭さ、アジア圏学習者を対象とした調査の不足、といった課題を有する。そこで、本研究は、学習者コーパスICNALE(Written Essays 2.4)を使用し、45種の幅広いADCを対象として、アジア圏6地域のEFL学習者(日本・韓国・中国・インドネシア・台湾・タイ)のADC使用を計量的に調査した。その結果、(1)中国・台湾を除くアジア圏学習者はADCを過少使用すること、(2)日本人は強意型ADCのsurelyを過剰使用し、(3)アジア圏6地域の学習者の中で一定のADC使用パタンを見せること、等が明らかとなった。


14:35-14:45 休憩

14:45-15:15

竹下綾音(九州大学学部生)

「日本の高校生のライティングに見られるスペルエラーの傾向」

要旨:本研究は、日本の高校生の英文における英単語のスペルエラーの傾向を明らかにすることを目的としている。日本の学習者のスペルエラーに関する研究は、これまでに言語発達段階の英語話者の英文におけるスペルエラーとの比較、日本語の言語形式や、日英語の音韻構造の相違に起因するエラーという観点で研究が行われている(Stephens & Leane 2013、Okada 2005)。しかしながら、高校生の英作文に焦点を当てた研究や、キーボード入力による英作文に関する研究はほとんど行われていない。本研究では、日本で学ぶ高校生自身がキーボード入力を用いて産出した英文データを用い、高校生に特徴的なスペルエラーの傾向を明らかにする。


15:15-15:45

三河尻紀明(東京外国語大学大学院生)

“Comparative Study of Lexical Bundles Used in Spoken English and Japanese Elementary and Junior High School English Textbooks”

要旨:One of the essential goals of English education in Japan is to develop communicative ability. To communicate effectively, students need to learn target-like use of English, used in speech. This study used a corpus of English textbooks for elementary and junior high schools in Japan to investigate the extent to which textbooks use target-like lexical bundles as compared to the SubtlexUS, a spoken English corpus. The study found that textbooks used significantly more types and tokens of lexical bundles. Short lexical bundles used in multiple textbooks were significantly more frequently used in spoken English. However, those that were used frequently in spoken English tended not to be used in textbooks. Furthermore, it was found that few long lexical bundles are commonly used in textbooks. These results suggest that textbooks do not necessarily reflect the highly frequent lexical bundles used in spoken English and that there is no consensus among textbooks about what should be learned.


15:45-16:15

仁科恭徳(神戸学院大学・オックスフォード大学)

「若者世代の言葉をコーパスで斬る」

要旨:本発表では、まずZ世代で好まれる英語の語彙・表現をKatz, Ogilvie, Shaw & Woodhead (2021)の研究結果を追検証しながら紹介する。次に、日本語における若者言葉の分析結果の一部も紹介する。Katz, Ogilvie, Shaw & Woodhead (2021)では、BNC、COCA と比較することで、16歳から25歳までの書き・話し言葉を集めた7000万語規模のiGen Corpusから特徴語を特定し、インタビュー調査の結果も踏まえて多角的にZ世代の言葉を分析している。一例を挙げれば、collabやfam, ze, k.などである。なぜこのような語彙・表現がZ世代に好まれ、どのような機能があるのだろうか。その一端を紹介したい。また、日本語の若者言葉をいくつか紹介した後、その中から「リア充」などいくつかの例を取り上げ、その機能や談話的韻律をWord Sketchを用いて紹介する。


16:15-16:20 閉会の挨拶(研究会副代表)