英語コーパス学会語彙研究会では、2024年3月22日(金)に2023年度の研究会を開催いたします。研究会への参加(聴講)は会員・非会員を問わず無料ですが、事前申し込みが必要です。お申し込みいただいた方には、開催2日前までにZoomのリンクをお送りします。
参加(聴講)申込フォーム(申し込み期限 2024年3月15日(金)):
https://forms.gle/Y7bd6auAzoNBgwP4A
お問い合わせ:英語コーパス学会語彙研究会2023年度代表 小屋 多恵子(tkoya@hosei.ac.jp)
2. プログラム
英語コーパス学会語彙研究会2023年度研究会
日時:2024年3月22日(金)13:00-
開催方法:Zoom によるオンライン
13:00-13:05 開会の挨拶(研究会代表)
13:05-13:35
藤本 和子(創価大学)
「日本人大学生の英語使用を探る-助動詞と時制をめぐって-」
要旨:本発表は、2013 年度実施開始(年次進行)の高等学校学習指導要領に基づく英語教育を受けた現役大学生を含む日本人大学生の助動詞と時制の使用の分析についてである。同学習指導要領解説において、指導することが明記された文法表現のいくつか(e.g., 過去に関する推測を表す「助動詞+完了形」)に焦点をあてて、日本人大学生ライティングコーパス(CEFR: A2, B1 レベル)と 2003 年度実施開始の高等学校学習指導要領に基づく教育を受けた日本人大学生のライティングコーパス(CEFR: A2, B1 レベル)を検索する。分析の結果、両コーパス間で、調査した文法表現の頻度の変化はあるものの有意差は見られない。文法表現間の頻度分布は、Reppen et al. (2022)などの分析結果との違いが見られる。文法表現の CEFR レベルも参照しながら、大学生への指導について参加者の皆さんと一緒に考えてみたい。
13:35-14:05
池田 拓誉(北海道大学大学院生)
「コーパスに基づく be willing to の研究―通時的分析を中心に―」
要旨:be willing to を「喜んで~する」という積極的な意味でのとらえ方は、現代英語では批判され、be willing to はそのような積極性を持たないとするのが一般的な見方である。しかし、時代を遡って辞書を観察すると、be willing to の積極性をうかがわせる記述がある。この事実から、本論ではアメリカ英語の大規模コーパスである Corpus of Historical American English (COHA)を用いて、be willing to を通時的に観察した。be willing to の用例について、共起する語や語法の観点から分析をおこなった。その結果、be willing to は後期中英語・初期近代英語では積極的な意味で用いられている用法が存在した。その結果をもとに be willing to が共起する語や語法上は積極的な意味を持つことを主張する。
14:05-14:35
住吉 誠(関西学院大学)
「assist の動詞パタンの語彙文法的考察」
要旨:本発表では、語彙文法的な観点から動詞 assist のパタンの変化をコーパスにもとづいて検証する。学習英英辞典も含め従来の規範では、動詞 assist を <assist + X + to V> というパタンで使用することを禁じていたが、近年、この規範が緩和されている現実がある。また記述的文法書などではこの形を問題視してはこなかったが、近年の研究では to 不定詞ではなく原形不定詞を伴う <assist + X + V> の存在も指摘されるようになってきた。assist の動詞パタンは規範と英語の変化が複雑に絡み合い、その実態の把握が難しい。本発表では、COHA などのコーパスにもとづいて assist のパタンの全体像の把握を試みたい。
14:35-14:45 休憩
14:45-15:15
小屋 多恵子(法政大学)
「理系学部における授業「コーパス言語分析」の課題と可能性(2)-KJ 法と KH Coder による分析手法の習得-」
要旨:本発表は、ある大学の理系学部の選択専門科目「コーパス言語分析」で実施した KJ 法とテキストマイニングツールの1つである KH Coder の分析方法の習得を意図した、アクティブ・ラーニング形態の授業実践を報告すると共に、授業の課題と改善点を探ることを目的とする。学部や学科の特徴は何かという学生に身近なトピックについて、個々の意見を持ち寄って整理したりまとめたりする KJ 法と、口コミサイトからの自由記述を統計処理によって客観的に分析する KH Coder による結果から、考察を行った。これらの手法を習得した後、卒業論文を作成する際に、KJ 法や KH Coder を用いる学生が一定数出てきている。現在の授業の進め方の課題を探り、さらに効果的に習得していく方法や授業内容を探っていきたい。
15:15-15:45
下山 幸成(東洋学園大学)
「ペア英会話文作成課題における使用語彙の分析」
要旨:本発表では、ペアワークとして英会話文を自由に作成する課題で産出された英文を学習者コーパスとし、使用された語彙の種類・頻度と表現を分析した結果を報告する。この分析は、学習成果として得られた点と今後の指導における課題や問題点を探ることを目的とする。本課題は、英語を専門としない大学1年生 33 名を対象とした英語発信力に重点を置いた必修英語科目において、授業時間内に作成するものである。トピックは、授業前課題として視聴した1分程度の英語音声動画をお互いに英語で紹介し合うものが多かったが、休暇の予定、訪れたい場所、好きなこと等、日常的に話題になりそうなものだけを選んだ。この課題は、日常的に使用するスピーキング力向上のための課題の1つとしての位置づけである。
15:45-15:50 閉会の挨拶(研究会副代表)